国産では縄文時代から栽培されていたという山の芋と山野に自生する自然薯、沖縄〜南九州〜四国の暖地に限って土着して大薯の三つで長芋、大和芋、いちょう芋のグループに分けられる。
でんぷん質に富み、ぬるぬるする粘質物は勢力強化の性質があり、昔から強壮食とされてきた。ジャスターゼは大根よりも多く、消化が良い。
長芋は長さが1mにもなり野球のバットに似た形をして、全国的に栽培されており生育が早くて寒さや病虫害にも強い。粘りけがなくてトロロには向かないが、生で和え物やサラダなどに、また煮ても美味。
〔作り方〕
長芋は水気が多くて粘りけがなく、シャキッとした歯触りなので、皮を剥いて水に晒し、水気を拭き、ごく細い千切りにする。
麺つゆまたは加減酢に、お好みの薬味を添えて。
むかご(零余子)は葉が対生する茎の付け根にできる小さな玉のようなもので、食用にもなる。
〔作り方〕
むかごを柔らかく蒸して、生身、卵白、大和芋で伸ばし、蒸し器にて蒸し上げ、熱いうちに重しを掛けて冷めるまで置き、石垣状に切り出す。
大和芋には、黒皮と白皮のものがあり、白皮は伊勢いも、黒皮は丸いも、大和いも、球形が拳を固めたような形をしている。粘りけが強く、トロロには最適であり高級品である。
〔作り方〕
一塩甘鯛を1人前の大きさに切り、身を削いで観音開きにする。水気を取ったゆで蕎麦を巻き込み、昆布を敷いて蒸し器で蒸し、上がりにトロロを掛けて蒸し、すぐに器に盛って、蕎麦出汁を掛け薬味を添える。(信州蒸しにトロロを加える)
関東を中心に作られている。手のひらや三味線のバチに似た形の物から、扇状、棒状のものまでいろいろあり、関東では人気が高い。皮が薄く、白っぽくなめらかで粘りけがあり、アクが少ないので主としてトロロ汁に使うが、揚げ物や煮物にしても美味い。
〔作り方〕
いちょう芋は、皮を剥いてすり鉢で滑らかになるまで良くあたり、一口大にまとめて海苔を巻きサラダ油で揚げ、木の葉野菜と馬鈴薯籠に盛る。煎り出汁で進める。
11月(霜月)文字通り霜が降る月の意味である。
野菜は霜にあたると甘くなり、これからは美味い冬野菜となる。
節は初冬でも穏やかで春のような暖かい、いわゆる「小春日和」の日々が続く、美しい自然の風物を求めて、野山や海にも行楽に良い季節でもある。
今年もあと残り2ヶ月となり、早いもので10ヶ月が過ぎました。(早すぎる)
杉浦 健治 料理長(2015/11/1)